2009-01-01から1年間の記事一覧

経済学・経営学などもう要らない!

1週間前(6月4日)の本欄に、松井彰彦先生がお書きになった『経済論壇から』(5月1日付日経新聞)の論評にコメントを書いた。その時には憚かられたが、やはり必要と思い直して付け加えることにする。それは論評者である松井先生も論評される立場の先生がたも…

だから経済学者は笑われる:どうやって真の専門家を見抜くのか?

5月31日付日経新聞『経済論壇から』に、東京大学教授の松井彰彦先生が世界大不況に対応するためには、「真の専門家を見抜かなければならない」という趣旨での論評をお書きになっている。 この中で取り上げられている各論者の主張を見てみよう。「今回のグロ…

国会議員の本音:ボーナス削減に「賛成の反対」

29日の参議院本会議で、国会議員の夏のボーナスを20%削減することが全会一致で決定された。しかしながら三重県選出の高橋千秋参議のブログによれば、議員先生がたの本音は削減に反対の声が強いのだそうだ。同議員によれば、「賛成の反対」だとか。 一般議員…

リスボンの長い坂

今日は、塚谷正彦『郷愁−リスボンの長い坂−』の読後感を書くこととする。作者の塚谷さんは元伊藤忠の社員で、この本にはタイトルどおりに、彼のリスボン駐在時への郷愁が纏められている。塚谷さんは私の妻の遠縁に当たり、その縁で寄贈して頂いた。彼はまた…

経団連は何を守ろうとしているのか?:温室効果ガス問題への対応から考えたこと

ポスト京都議定書を検討する政府の「中期目標検討委員会」から、2020年における温室ガス排出量目標に関して6つの選択肢が示された。この6つの案は、第一が「既存技術の延長線上で効率改善を図ることとする場合」+4%(1990年比:以下同じ)、第二が「先…

オールド・メディアへの鉄槌とその崩壊

この国がしゃきっとしないのは、政治とメディアの責任が重い。メディアはしゃあしゃあと政治を批判するが、そのご当人が如何にも腰砕けで意味不明瞭。何を言いたいのか、何をしたいのかさっぱり分からない。 もうだいぶ日が経ち記憶も薄れてきたが、忘れてな…

小沢辞任に思う:悪代官と少年探偵団

小沢さんがとうとう代表辞任を表明された。後任は、鳩山由紀夫さんと岡田克也さんのお二人で争われことになるのだという。今日正式に立候補し、16日に所属議員の投票で決定されるという慌しさである。結局茶番である。これでは小沢さんがお辞めになった意味…

団塊の懺悔:しつけを放棄した罪咎

毎朝の通勤途上。駅へ急ぐ途中で必ず出会うお嬢さんがいる。彼女が気になるは、当然のこと色恋沙汰ではない。その喫煙マナーである。煙草の火の部分を外側に向け、しかも大手を振って歩くのだ。早朝のこと故、小さな子供があまりいないのでまだしも、これが…

東国原知事のテレビ出演は問題ないのか?

2008年の東国原英夫さんの公務外収入は約3000万円、そのうち40%がテレビ出演料と講演料だそうである。タレントとして見れば確かに少ない収入かもしれない。だがこれは、公務を縫っての稼ぎである。ご当人言わく「公務外で稼いだ収入で税金を払い…

草なぎ騒動について思うこと(再論)

草なぎ騒動が事件(?)の瑣末性に比して、予想以上に大事(おおごと)になってしまったことに関して、24日の本欄で3つの点を指摘した。第一が、警察官の逮捕・家宅捜査、第二が、鳩山総務大臣の「最低な人間」発言、第三が、マスコミの盲動ということで…

“アルカイダの友達の友達”大臣 vs. “公然わいせつ?”タレント

今朝出勤してびっくりしたのは、定期購読している何時もの朝刊に混じって、スポーツ紙があったことだ。不思議だったので担当者に聞いたところ、どうも新聞販売店のサービスということのようであった。そのスポーツ紙の一面に踊っていたのは、“全裸”“わいせつ…

経済対策:孫・子に借金の山で本当によいのか?

前二回(4月15・16日)の本欄では、私なりの追加経済対策の評価を披露した。そこでは不充分かもしれないが、一連の対策の結果が借金の山を孫・子の代に残す可能性を指摘した。 こうした懸念は勿論私だけではなく、少なからぬ心ある識者が等しく表明して…

追加経済対策、私の評価は”0”点(下)

(承前) 第二の実行への道筋。逆に言えば予算の消化ということであるが、これまでにもこれほど大型の対策でなくても、政策実行・予算消化においては主として事務手続面から隘路が出来、その効果が著しく削がれる傾向が多々見られた。しかしこのことは何時の…

追加経済対策、私の評価は“0”点(上)

13日朝のフジのめざましテレビに、3人の経済評論家の先生が登場して、10日に決定された追加経済対策について採点されていた。結果は、85点、80点、55点というものである。これらの先生方について私はよく存じ上げないが、彼らは、今回の対策を真面…

ポピュリズムの危険性とタレント知事

政治が、政策と政局からなっていることは常識である。政局とは「政界の情勢」ということであるが、詰まるところは選挙である。政治家先生の大事なお仕事は「政策立案」であることは言うまでもない。だが実際は政策と政局を秤にかければ、先生方にとっては圧…

茶番の週末:北の「飛翔物」

既に旧聞に属するかも知れないが、花見で賑わう昨週末の日本列島に、北の「飛翔物」が興を添えた。北の飛翔物が飛んで来るということで、政府・自治体、マスコミは大童であった。ここで敢えて飛翔物と書いたが、これもミサイルか人工衛星か識別されないこと…

小沢さん今は辞めないで下さい

小沢一郎さん、私は貴方が好きではありません。だけど今は代表をお辞めにならないで下さい。 小沢スキャンダルについて、元東京地検特捜検事で、現在桐蔭横浜大学法科大学院教授の郷原信郎さんの見解が興味を引かれる。『日経ビジネスオンライン・ニュースを…

高橋洋一さんの唖然№2−本当にぶったまげた−

1月29日付け本欄に、政府通貨の発行に関して私なりの批判として「高橋洋一さんの唖然」を書いた。しかし今朝の新聞を見て唖然どころではない。本当にぶったまげた。あの高橋さんが窃盗容疑で書類送検されたのだと言う。 31日付けの毎日新聞によると、高橋さ…

サムライ・ジャパンと日本型資本主義

サムライ・ジャパンが5度目の韓国戦を制して、再び世界一の座についた。第1回の時の優勝は韓国に負け越し、米国のチョンボに助けられた優勝であった。そうしたこともあって、当時日本の野球は米国筋から「スモール・ベースボール」と揶揄され、概してあまり…

『逝きし世の面影』にインスパイアされて

渡辺京二『逝きし世の面影』をやっと読み終えた。ハードカバーで菊判500頁に及ぶ大作である。だが扱われるテーマが非常に興味深かったので、読後の疲労感はない。 この本では、主として外国人から見た幕末・明治初期の日本社会と日本人に関する素描・考察が…

ビネスホテルとグローバルスタンダード

先週は沖縄に出掛けたことを書いた。このところ公私取り混ぜて旅行に出ることが多い。昨年は5月に山形・赤湯温泉、8月に富士・朝霧高原、9月に札幌、11月に福岡、12月に鹿児島、神戸、本年に入ってからは1月に長野、札幌、3月に沖縄、甲府と出掛けた。 そし…

沖縄旅行から考えたこと

1日の日曜日から三泊四日で妻と沖縄に出掛けて来た。貯まったマイルと会社の契約施設を利用した貧乏旅行である。沖縄は観光立県の地である。西洋人を含めてそれなりに旅行者で賑わっており、私が泊まったホテルも結構宿泊客が多かった。しかしとは言っても、…

GDP統計を信用してよいのか?

去る2月16日に昨年10−12月期の国内総生産(GDP)速報値が発表され、この結果を同日の日経新聞夕刊はトップ扱いで「GDPマイナス12.7%」と、極めてセンセーショナルに伝えた。朝毎読の三大紙もまったく同様の反応であった。ただこの見出しには日経と三大紙で…

大型店の地域破壊:丸井今井の破綻に思う

先月29日、たまたま札幌に出張している時に、当地の老舗百貨店丸井今井が民事再生法の適用を申請し事実上の経営破綻になるという報に接した。最近は滅多に出掛けることのない札幌に偶々滞在している時に、このバッドニュースに出くわしたことは妙な気分で…

北海道の観光振興策の間違い:価格政策批判を中心に

2月2日の日記は感情的になりすぎていたかもしれない。読み返してみると、これではただの食い意地、飲み意地の張った親父のぼやきである。名誉のためにも今日はもう少し冷静に、言いたいことを論理的に整理して書くこととしたい。 まずは話の取っ掛かり上、企…

観光政策を中心に札幌で考えたこと

先週は札幌に行って来た。愛して止まない札幌であるが、苦言を呈さなければならないことに気が重い。 昨年9月に行った時に書こうと思って書かなかったのが、雪印パーラーでのこと。この店は昔は観光客のみならず、美味しいスウィーツをリーゾナブルな値段で…

高橋洋一さんの唖然

最近は色々なことが起こりすぎて少々のことでは驚かないが、日曜朝のテレビ番組を見ていて久しぶりにビックリしてしまった。例の高橋洋一さんが登場して、景気回復にウルトラC(ちょっと古い?)の秘策があると仰るのだ。その秘策というのは、日銀券とは別…

許すまじ! 中谷巖さんの懺悔(下)

(16日の”上”から続く) そもそも米国発の社会科学に関する理論は、自者(米国)に如何に有利な土俵を作り出すかに終始して来たと言ってよい。その最たる例が、新自由主義や市場原理主義などの理論的研究である。自由と言われて、それに意義を唱える向きは少…

許すまじ! 中谷巖さんの懺悔(上)

週刊朝日の1月23日号に、改革の旗振り役として活躍して来た中谷巖さんの懺悔が掲載されていた。中谷さんは、長年米国流の「規制のない自由な経済活動」を重視する「改革派」として活躍しており、特に小渕内閣の『経済戦略会議』議長代理として、竹中平蔵さん…

日本電産永守社長の英断:ワークシェアリングの薦め

10日(土)付け読売朝刊に、日本電産(永守重信社長)が「一般従業員1万人を対象に賃金カットを実施する」ことを表明したとの記事が掲載されていた。これは、同社従業員の基本給を1〜5%をカットすることとし、管理職についても1月から2.5〜5%、2月から7.5〜10%…