急落した内閣支持率

 この週末(6月17日〜18日)の各メディアの世論調査結果が発表された。各社ともに内閣支持率は急落。逆に、不支持率は急上昇した。その結果として、「支持率−不支持率」についての5月から6月にかけての各社縮小幅を大きい順に並べると、讀賣新聞25%(支持率:5月61%→6月49%、不支持率:5月28%→6月41%、以下同様)、共同通信19.3%(支持率:55.4%→44.9%、不支持率:34.3%→43.1%)、毎日新聞19%(支持率:46%→36%、不支持率:35%→44%)、産經新聞16.7%(支持率:56.1%→47.6%、不支持率:34.7%→42.9%)、日経新聞13%(支持率:56%→49%、不支持率:36%→42%)、朝日新聞12%(支持率:47%→41%、不支持率:31%→37%)ということとなる。
 「支持率−不支持率」の変化幅は、変化方向のスピードと言えよう。このスピードか一番大きかったのが讀賣新聞であることは、実に象徴的である。同紙は、安倍さんの「憲法改正」発言及び前川さんの「出会い系」に関する記事などで注目を集めたが、その同社の調査においてもこうした結果となったことは、内閣支持の急落が明らかということなのであろう。
 昨夕(19日)安倍さんの記者会見があったが、「国民に謝罪する」と言いながら、相変わらず「印象操作」の連発で、少しも謝罪の気持ちは伝わって来なかった。お坊ちゃん育ちで謝罪下手ということよりも、この人の場合、これが本性なのであろう。アルフレッド・マーシャルは、経済学徒には“cool head”に加えて“warm heart”の大事なことを説いたが、一国のリーダーにも必須の資質であることは間違いない。

佐々木さやかさん、お疲れ様でした

 14日の参議院での金田法務大臣に対する問責決議案に関して、公明党佐々木さやかさんの反対討論は非常に酷すぎた。あれだけ物議を醸して来た金田大臣を礼賛三昧。聞いていてすっかり気分が悪くなってしまった。同晩の報道ステーションに登場した田原総一郎さんは、「あれ皮肉じゃなかったら本人バカだよ」とコメントしたそうだが、まったく同感である。
 それにしても公明党はどこへ向かおうとしているのだろうか? 一般の学会会員の皆さんは真面目に人生に向き合っている人が多い。また個人的には親切で優しいという印象も強い。思想信条は別にして、私の中では好感度は決して低くない。ある意味典型的な庶民の集団で、公明党はそうした庶民感覚をバックボーンとする政党と理解して来た。公明党自民党と組んで政権入りした時、与党内野党としてのチェック機能に大いに期待したものである。それがどうしちゃったのでしょうか? 
 佐々木さんは創価法科大学院出身の弁護士さんで、加えて美人さん。学会肝煎りのマドンナ広告塔としては恰好のキャラである。また、彼女は委員会質問によく立ち、かなり目立つ存在である。彼女の発言を忖度すれば、あの討論発言は彼女の真意ではないであろう。多分振り付けられたシナリオ通りに演じただけなのだと考えてよい。今回の一連の騒動の中で、何を守りたいのかよく分からないままに、政治家先生、お役人の皆さんの多くが振り付け通りに演じていた。そういう意味では、お可哀想にとしかいいようがない。
 兎に角反対討論に佐々木さやかさんを充てたのは、完全にどなたかのお好きなイメージ戦略の一環であることは間違いない。佐々木さんの”好感度””女性としての魅力”にかけたのだとしたら、これは立派な性差別である。「共謀罪」法の決議に際して中間報告の手法を採用したのも、都議選を前にして公明党の秋野法務委員長が醜態を晒さないためということが言われている。
 学会会員並びに公明党支持者の皆さん、本当にこんな滅茶苦茶な政権に政治を委ねてわれわれの生活と未来が守られると信じているのでしょうか。現下の政治状況は決してイデオロギーの対立などでないことは明らかである。今政治に問われているのは、人間の根源的な”品性”の問題である。難しい話ではない。都議選で公明党都民ファーストと組んだのは、安倍政権下では選挙を勝ち抜けないと判断したということだ。それが民意であるとすれば、中央での提携関係を維持するのは明らかに論理矛盾である。もう説明しきれない話に乗るのは止めにしませんか? 夜明けは近い。
  
 

改めてリーダーの資質と自民党議員の責任を問う!

 先週の土曜からこの金曜まで体調を崩して不覚にも緊急入院してしまった。入院は子供の頃を除けば、初めての経験と言っていい。それなりにショックであったが、この間暇に任せて一層「共謀罪」法と、加計問題を注視していた。それにしても「共謀罪」法の参議院本会議による決着は酷いものであった。まさかとは思ったが、中間報告などという禁じ手を使うことなど夢想だにしなかった。加計問題では会期末ギリギリになって、追加調査結果を出して来た。色々不備はあるが、それなりに前川さんの発言の真正さが確認されたことは、一定程度評価されていい。ただ一方の内閣府の調査は相変わらず臭いものに蓋という対応ぶりで、非常に醜いものであった。
 そこで安倍さんである。ここまで国民を愚弄して憚ることがないのはなぜなのだろうか? 彼の獲得目標は何なのだろうか? 一説には北方領土問題を解決してノーベル平和賞をゲットし、歴史に名を残すことだとも言われる。不思議なのはこれは飽くまでも結果であり、獲得目標ではない。ノーベル省は、何かを獲得した結果に付いてくるものである。「共謀罪」法にしても、これが成立しなければオリンピック・パラリンピックが安全に開催出来ない。だからこの法律が必要だとする。だがこれもかくかくしかじか、この法律を施行することによって懸念されるリスクが軽減されるので、結果オリンピック。パラリンピックが安全に開催されるという説明ぶりにはならない。論理が鯱立ちしてしまっている。
 一般論として一国のリーダーたる者は、第一に、生来の「知性」、第二に、公明正大な「倫理感」、第三に、客観的な「歴史認識」を持っていなければならない。翻ってわが安倍さん、並びに取り巻きの与党の皆さんは如何であろうか? これまでの一連の経緯を見る限り、残念ながらこれらの条件は明らかに満たしていない。しかるになぜこうしたリーダーが選ばれてしまったのだろうか。自民党に多くの議席を与えたのは国民である。しかし安倍さんを国民は選んだわけではない。選んだのは自民党の先生方である。前回の総裁選では一般党員票を反映する第一回投票では石破さんが圧倒していた。それが議員票による決戦投票で安倍さんは薄氷を踏む思いで、やっとのこと当選したにすぎない。要は自民党の先生方の都合で選ばれたにすぎないということだ。
 忘れてならないのはこのことだ。安倍さんの暴挙が直接的にやり玉に挙げられるのは当然のこととして、安倍さんを選んだ自民党の先生方は、阿部さん本人以上に責任を感じなければならないはずである。だが未だその責任を十分に感じているように見える先生は、ほとんど皆無である。国民をこれだけ愚弄しておいて、今の身分が将来的に保証されるとお考えになっているのであろうか? 「天知る、地知る、人知る、我知る」。今度こそ国民は忘れない。 

待ちに待った瞬間。内閣支持率急落

 6月1日付「日経電子版」のインターネットを通じた世論調査(5月27〜30日実施)によれば、安倍晋三内閣支持率は26.7%と、前回調査(5月20〜23日実施)の52.1%から25.4%ポイントの、まさしく”超”急落となったということである。また地域限定ではあるが、北海道新聞の全道世論調査(5月26〜28日実施)でも、内閣支持率は41%ポイントと4月調査から12%ポイントの低下。逆に不支持率は57%と前回調査から12%ポイントの上昇し、結果、支持率と不支持率は完璧に逆転した。
 これは当たり前のことであろう。内閣支持率の高いことを唯一強弁の材料にして来た、安倍さんの首相としての正当性はこれで完璧に崩れたと言えるだろう。待ちに待った瞬間である。私は別にいわゆる”左”ではない。朝日の論調が嫌いで、つい最近まで読売を購読していた。過去には産經も取っていた。諸君も好きである。しかし安倍さんならびにこの内閣はあまりにも酷すぎる。だから声を上げている。
 今日(6月7日)の本会議における決算承認で共産党の議員が反対討論を行っていたが、財政難を口実に平気で福祉を切り捨て一般国民に負担増を強いる一方で、大企業には減税。加えてモリ・カケのお友達には血税を割いて便宜を図る。北朝鮮の脅威で国民の不安をいくら煽っても、もうこれ以上は無理である。
 安倍内閣河野洋平さんが言うように、実に不思議な政権である。安倍さん自身は保守を自認しているようであるが、お友達であった籠池さんによってまさしく明らかにされたように、”ネトウヨ”みたいなものである。思想信条に対する覚悟が微塵も見られない。彼が気にするのは政局・選挙だけ。国民も、国会議員も、自民党員も、お役人もあるかないかよく分からない危機感で煽り、言うことを聞かない場合には恫喝の繰り返し。
 もともと安倍さんは選挙で「圧倒的に支持されている」というように勘違いされているようだが、そうではないであろう。2012年の総裁選では、地方票で圧倒的支持を集めたのは石破さんであった。それが決選投票で逆転して勝利したのが安倍さんである。地方票は一般党員の投票であり、安倍さんの大好きな世論に従うのであればこれを尊重しなければならないはずである。決選投票は色々な思惑の産物であり、不透明さが払拭できない。要はここでも安倍さんの二枚舌の面目躍如。そもそもから彼が選出された正当性は肯定できないのである。
 安倍さんの国会答弁は聞いていて恥ずかしくなるくらいのレトリック・詭弁の繰り返しで、まったく不誠実であるし、したがってそこには知性のかけらも認められない。G7をご覧頂きたい。昨年の伊勢志摩サミットはホスト国としての成功ばかりが喧伝されているが、安倍さんの無知・無能さを曝け出したばかりである。オバマさんやメルケルさんの冷笑をまったく感じなかったとしたら、その厚顔さには本当に呆れ返ってしまう。トランプさんとつるむのがせいぜいお似合い。とにかくこの首相を頂くのはもう勘弁して欲しいと、つくづく思う。

下衆や下衆。自民党良識派に期待

 前文科次官・前川喜平さんへのえげつない大新聞の暴露記事の波紋は、まだまだ収まらないようだ。傾向として大新聞およびリーク主の思惑に反して、前川さんを人格的に攻撃する論調はきわめて少なく見える。世論もさすがにあまりにもなりふり構わない”印象操作”には、もうとても付き合ってはいられないということなのであろう。こうしたなかで、週刊文春6月8日号に掲載された、件の出会い系バーで前川さんと親しくなったという26歳のA子さんの証言はインパクトが大きかった。彼女の証言で、リーク元が期待した性的関係など皆無であることがはっきりしたわけである。また他の女性や店員からも、A子さんの証言を裏付ける発言が相次いでいるとのことでもある。
 菅さんの記者会見での前川攻撃はまさしく下衆の勘繰りというものだ。生来が下衆であると、他人もすべて自分と同じように下衆に見えてしまう。それにしても、安倍さんも菅さんも、その他のご一統さんたちも、国会の追及にまともに答えないのは、これはもう職務放棄である。「答える必要がないから答えない」。「調査をしたけど何も出て来なかったので、さらなる調査は必要ない」。まるで駄々っ子の言い分。これでは小学校の児童会以下である。
 少なくとも国会における議論はロジック重視を旨として欲しいものである。このところの安倍さんやさしもの菅さんの答弁も、論理破綻が著しく、見苦しい限りである。金田法相が野党の追及をかわせないのは彼の力量ということより、共謀罪の構成論理がそもそも破綻しているからであろう。超弩級のロジックの申し子である財務省のエリートが森友で衆人の納得の行く答弁が出来ないのも、この問題の論理が破綻しているからであることは間違いない。要は論理破綻はそもそもが”嘘”ということだ。
 この内閣の行く末は見えた。6月3日付け「日刊ゲンダイ」に掲載された河野洋平さんの以下の発言はきわめて重い。「安倍という不思議な政権ができて、その人が指す方向に憲法を変えていくなんんて、到底納得できない」。注目されるのは、”安倍”と呼び捨てにしていることである。良識派から見れば、安倍さんなんかは政治家の端くれとしても認められないということであろう。民進党に支持が集まらないのであれば、自民党内の良識派が動き出すより方法がない。

国民不敬罪もしくは侮辱罪

 昨日の参議院本会議。民進党真山勇一議員の質問に対する安倍さんの答弁は何時ものことながら、国民に対して大変失礼なものであった。例えば加計問題。真山さんの質問は「なぜ加計学園に落ち着いたのか」ということなのだが、一般論で「岩盤規制や既得権益に風穴を開けることの重要性」を繰り返すばかり。このことに正面切って反対する者が稀であることを逆手に取った、極めて姑息なすり替え論法である。
 安倍さんはこれまでも質問者の真意を一向に”忖度”することなく、「言葉づかいが失礼」「印象操作」と本質論とは関わりのないところで揶揄する一方で、「内閣支持率は高い」とし、「悔しかったら支持率を挙げて見ろ」との口吻で恫喝する。これは責任ある内閣総理大臣の答弁とはとても思えない、かなり下品なものである。安倍さんはとりわけ民進党を馬鹿にしているつもりなのかもしれないが、その先の国民を馬鹿にしていることになぜ気がつかないのだろうか。
 安倍さんの発言は国民に対して大変失礼であるし、まともに答えないという意味で印象操作に終始していると言っていい。籠池さん、前川さんに対しても反論の証拠を一切提示することなく、「あいつは悪い奴だから、信用出来ない」という、馬鹿馬鹿しいほど幼稚な人格攻撃で臭いものへ蓋。これは、「あいつは好い奴・悪い奴」で人物評価を図る、盟友トランプさんの思考回路と一緒である。
 いずれにしても内閣支持率が高いか低いかは別にして、目下の一連の問題に対して、菅さんを含めて内閣答弁が論理破綻していることは間違いない。正義の第一用件は整然たる論理である。誰にも分かる理屈で説明出来ないところに、正義は存在しない。回答者の判然としない内閣支持率などどうでもいいのだ。私は、これまでの安倍さんの国会答弁は、「国民不敬罪」「国民侮辱罪」があれば、その罪に値するものであると考える。国民はそのことに胸を張って立ち向かわなければ、とても”美しい国」の住民たる資格はないであろう。

「モリかカケか」そして喜平

 5月23日付け東京新聞朝刊に、佐藤正明さんが描く三コマ漫画『森友と加計』が掲載された。内容は、安倍さんとおぼしき人物が蕎麦屋に入り、店員が「モリにするかカケにするか」と聞いて来たのに異常反応してやおら店を飛び出すというものである。そして今日27日にはその続きが載っている。前回店を飛び出したその人物が後ろを気にし過ぎて前を注意をしていなかったために、危うく出前の自転車と危うくぶつかりそうになるのだが、その出前の店名が”そば処 喜平”という落ちである。久しぶりに腹を抱えて笑ってしまった。これこそ庶民のエスプリ、矜持である。因みに、店名に驚いた彼はまた脱兎のごとく逃げ出すのである。
 それにつけても、安倍さん不在のなか菅さんの孤軍奮闘は実に醜い。真摯に実態を語る(そういう印象が強い)前文科次官・前川喜平さんに対して、正攻法ではとてもかわしきれないと見るや、大新聞まで動員して人格攻撃で葬り去ろうとしているのだ。仮に前川さんがとんでもない人物であったとしても、真実は真実である。本人は証人喚問に応じると言っているのだから、菅さんが重ねて主張するように潔白であるのなら、野党の要請に素直に応えればいい。安倍さんは野党の追及に対して馬鹿の一つ覚え。「印象操作」のセリフを繰り返すばかりである。しかし前川さんへの人格攻撃こそ「印象操作」以外の何物でもない。二枚舌三枚舌もいいところである。
 安倍さんの強気の拠り所は唯一内閣支持率である。世論は、共謀罪憲法改正などの個々の政策課題については政権を支持しているわけではないのに、内閣支持率だけ異様に高い。なぜこうなってしまうのか誰も明確な解答を示せないでいる。安倍内閣の支持率が仮構の産物であったとしても、確かに表層的には鉄壁の岩盤構造に見える。ただこのまま次回の選挙でも安倍政権は支持され続けるのであろうか。森友問題でも明らかになったように、親安倍対反安倍の対立軸は、保守対革新、右翼対左翼、改憲対護憲などという思想・信条に関わる高尚な対立構造では決してなく、達観すれば根源的な人間の品性に関わる問題と言っていい。今回の前川問題ではその感をより強くする。国民はもう具に政権の実体を見極めていると思われるのだが…。
 内閣の懲りない強弁ぶりを目の当たりにするにつけ、無力感が高じるのは事実である。しかし”美しい日本”の国民としての誇りを取り戻すためにも、このままでいいはずはない。安倍内閣が岩盤規制を無理矢理ドリルでこじ開けた”故事”に倣って、如何に固い岩盤であっても、われわれは不公正・不公平の誹りを招いている現政権を支持し続けることは如何にもまずい。孫・子、そしてそのあとに続く次世代のためにも。