下衆や下衆。自民党良識派に期待

 前文科次官・前川喜平さんへのえげつない大新聞の暴露記事の波紋は、まだまだ収まらないようだ。傾向として大新聞およびリーク主の思惑に反して、前川さんを人格的に攻撃する論調はきわめて少なく見える。世論もさすがにあまりにもなりふり構わない”印象操作”には、もうとても付き合ってはいられないということなのであろう。こうしたなかで、週刊文春6月8日号に掲載された、件の出会い系バーで前川さんと親しくなったという26歳のA子さんの証言はインパクトが大きかった。彼女の証言で、リーク元が期待した性的関係など皆無であることがはっきりしたわけである。また他の女性や店員からも、A子さんの証言を裏付ける発言が相次いでいるとのことでもある。
 菅さんの記者会見での前川攻撃はまさしく下衆の勘繰りというものだ。生来が下衆であると、他人もすべて自分と同じように下衆に見えてしまう。それにしても、安倍さんも菅さんも、その他のご一統さんたちも、国会の追及にまともに答えないのは、これはもう職務放棄である。「答える必要がないから答えない」。「調査をしたけど何も出て来なかったので、さらなる調査は必要ない」。まるで駄々っ子の言い分。これでは小学校の児童会以下である。
 少なくとも国会における議論はロジック重視を旨として欲しいものである。このところの安倍さんやさしもの菅さんの答弁も、論理破綻が著しく、見苦しい限りである。金田法相が野党の追及をかわせないのは彼の力量ということより、共謀罪の構成論理がそもそも破綻しているからであろう。超弩級のロジックの申し子である財務省のエリートが森友で衆人の納得の行く答弁が出来ないのも、この問題の論理が破綻しているからであることは間違いない。要は論理破綻はそもそもが”嘘”ということだ。
 この内閣の行く末は見えた。6月3日付け「日刊ゲンダイ」に掲載された河野洋平さんの以下の発言はきわめて重い。「安倍という不思議な政権ができて、その人が指す方向に憲法を変えていくなんんて、到底納得できない」。注目されるのは、”安倍”と呼び捨てにしていることである。良識派から見れば、安倍さんなんかは政治家の端くれとしても認められないということであろう。民進党に支持が集まらないのであれば、自民党内の良識派が動き出すより方法がない。