民進党はやっぱり支持出来ない

 5月18日の党首討論における岡田代表の発言はまこと噴飯ものであった。安倍総理が基本的に「消費税引き上げに消極的」であることを見越したうえで、姑息にも「引き上げ延期」を持ち出したのである。消費税引き上げを巡る議論は喧しいが、この問題は本当に言うほどに重要なのであろうか。要は、景気か財政再建かということである。考えて見て欲しい。「8%から10%」への引き上げは、たかだか2%のアップである。これで景気回復が失速するのだとすれば、日本経済の実力はその程度ということであろう。
 唐突であるが、例えば私は円安政策などの方が、消費者にはより影響が大きいものと考えている。80円が120円になると、これは言うまでもなく輸入品に関して5割の物価上昇要因となる。基本的に、円安は輸出企業を中心に恩恵が及ぶものである。円安効果があまねく国民経済に均霑化すればそれはそれで評価されるのだが、実際は輸出大企業のキャッシュフローとして企業内に留まるのが関の山である。ということは円安効果が経済連鎖の中で、リークしてしまっているのだ。これでは本当に消費者は踏んだり蹴ったりである。パナマ白書の疑惑もある。
 消費税に戻る。消費税の問題は、短期的に見た景気回復を重視するか、長期的に見た財政再建を重視するかということである。これは世界の著名なエコノミストをいくら呼んで来ても、結論が出ないと考えるのが常識だ。このことは偏に経済理論の問題ではなく、社会哲学の問題なのである。ウルグアイのムヒカ元大統領が評価されるのは、確固たる社会哲学を持っているからである。
 思い出して欲しい。2012年暮れの党首討論で、野田総理は「消費税引き上げの是非」を問うために、解散総選挙に売って出て、そして民主党は野に下った。私はこの時民主党は党是として財政再建に重き置いているものと勝手に解釈して、野田民主党を支持した。それが岡田代表民主党伝統の哲学をかなぐり捨てて、「消費税引き上げストップ」を宣言したのである。これは明らかに選挙対策であり、人気取り作戦であることは間違いない。安倍総理も同じ穴の狢。結局、消費税を巡る争点は端から存在しないのだ。民進党がこの体たらくでは当然のこと、支持出来ない。一方で自民党も支持出来ない。またまたハムレットの心境である。さらにここへ来て、舛添問題。政治不信の炎はますます燎原を焼き尽くしてしまう。