やはり民主党問題から

 昨年の3月14日を最後に本欄をお休みにさせて頂いた。11日の大震災以降も書き続けようと思っていたのだが、何を書いても虚しさが募るばかりですっかり意欲を喪失させてしまった。しかし私ごときでも、書くべきことは書かなければならない。新年を迎えたのを切っ掛けに、再び書くことを復活させた。
 民主党税制調査会は12月29日、社会保障と税の一体改革に伴う消費税率の引き上げについて、「2014年4月に8%、2015年10月に10%とする」ことで漸く決着した。平成24年度予算政府案では、歳入総額は90.3兆円、うち公債金収入が44.2兆円。また公債費支出は21.9兆円、公債金残高は637兆円となる。この結果公債依存度は49.0%となり、俗に言われるとおり個人の家計に例えると、給料と同額の借金をして生活をエンジョイしている状態であり、しかもこのうち元利金の返済が給料の47.6%にも及ぶ。まさしくサラ金地獄の状態と言ってよい。
 これは何をどう糊塗しようと財政破綻の状況であることは明らかで、ギリシアやイタリア、スペインをもはや等閑視出来る事態にはない。そうした緊急事態であるにも拘らず、民主党内から9人がこの決定に反対して離党。新党を立ち上げることとなった。彼らの言い分はこの不況の時期に増税などしたら、ただでさえ悪い景気をますます悪化させ再起不能になってしまうということである。財政再建には増税を先行させるのではなく、景気回復=自然増収を優先させるという考え方である。
 この考え方は果たして正しいであろうか? オーソドックスな経済理論に従えば、確かに正しいのかもしれない。だがバブル崩壊後の20年に亘って財政支出を大盤振る舞いした結果、今日の借金の山を築いたのではないか。その事実を押さえるだけで、景気回復先行説の根拠が崩れてしまうことははっきりしている。加えて諸外国の消費税率をみると、デンマークスウェーデンノルウェーの北欧諸国が25%と最高水準で、わが国の5%は台湾、カナダと並んで最低水準である。このような低負担で高福祉を期待することは、誰が考えても出来るはずがない。
 こんな簡単な事実を国民の血税を歳費とするわが選良が知らないはずはない。では彼らはなぜ消費税増税に反対するのであろうか? それは言われているとおり自らの選挙以外にはないであろう。今回離党した9名中8名は小沢グループということも象徴的である。こうした自分のことしか考えない政治家が跋扈する。わが国の財政危機は自民党政権を含めて、政治家の資質の問題であるといっても、言いすぎではないであろう。もっともこれらの政治家を選んだのは国民である。
 暮れのバラエティ番組の中で、ビートたけしさんは「自分が選挙に出て”馬鹿”な有権者の票を引き付けると、他の候補者は”まとも”な有権者によって選ばれるので、時期を見て自分が辞めれば、残る政治家は”まとも”な有権者によって選ばれた人たちばかりである。結果として政治が正常化する」との冗談を飛ばしていたが、案外これはグッドアイデアかもしれない。