安倍さん、流石にもう無理ではないでしょうか?

 今回の森友問題はまこと面妖である。右翼仲間の安倍さんと籠池さんがもともと二人仲良くしてたのに、風向きが変わることによって、すっかり臍を曲げた籠池さんがノンフィクション作家・菅野菅さんの登場によって宗旨替えし、あろうことか、共産党をはじめとする左翼勢力の支援を結果的に仰ぐ運びとなったわけだ。籠池さんがまこと筋金入りのライトであれば、こんな分かりやすい方向転換は図らなかったのではなかろうか。またとりわけ23日の証人喚問以来、世間の風潮が変わってしまい、籠池さんが悲劇のヒーロー扱いされる傾向もあるが、それはそうではない。この問題の発端は、飽くまでもないない尽くしの籠池さんが、過度に政治力を利用しつつ、そもそも無理な小学校の開設を目論んだことである。小学校どころか既存の幼稚園さえもこのままでは破綻し、残るのは借財ばかりということであるが、このことに同情は出来ない。籠池さんは、通常の”善良”な国民とは異なるルートで事業の完遂を企図したわけである。その点は決して見失ってはいけない。籠池さんはグレーなのである。ホワイトではない。
 そうした脈略の中では、安倍ご夫妻とりわけ昭恵夫人は被害者であるとも考えられる。昭恵夫人は典型的なお嬢様育ちであり、そうした出自にありがちな、きわめて善意の人であるのだろう。これは無論想像であるが、昭恵夫人のそうした性向を見抜いた人物が徹底的にしゃぶり尽くそうと考えても一向におかしくない。夫人を通じて、安倍晋三記念小学校の創設を持ち上げ、自らは名誉校長に祭り上げられる。少しでも世故に長けていれば、ここで何かおかしいという危険信号が鳴るはずなのだが、お嬢様かつ善意の人である昭恵夫人にはそうした危険信号は鳴らなかったのであろう。
 だからこそ昭恵さんは、夫人付きとされる谷査恵子さんを通じて、照会事項に対して懇切丁寧に対応したのであろう。これは善意以外の何物でもない。本当に優しくて親切な人であることの痕跡が伺える。彼女と直に接した人たちは彼女の人柄に魅了されるということであるが、そのことは容易に想像がつく。彼女のように只管善意の人が足を掬われる世の中は勿論望ましいものではない。しかしながら、昭恵夫人はご存じないであろうが、世の中は善意に満ち溢れているわけではない。籠池さんは自らを善意の人と定義するのであろうが、彼のような人物は巷に溢れ返っている。そうした陥穽に嵌ってしまったのが、今回の問題の本質といってよいのではなかろうか。
 安倍さんは日本国の押しも押されもしない総理大臣である。その総理大臣の夫人がいとも簡単に悪意に満ちた人物に利用されてしまう。そのことが問題なのだ。カネをもらったとか、カネをやったとかは有体に言えば大した話ではない。今回の話も高々8億円のディスカウントにすぎない。そんなことより何よりも、利用しようとする勢力に赤子の手を捻るように付け込まれてしまうことが問題なのだ。そのことが私は怖くてならない。
 安倍さんはどうお考えになっているかは分からないが、それだけで万死に値する。すなわち夫人のコントロールを含めて、それが十分でない総理にこれからも政権運営を託することは出来ない。リスク管理能力に疑義のある総理に全権を託すことはもう限界である。やはり安倍さんには、名誉ある撤退を求めるのがご本人のためにも、最善の選択であろう。これ以外の選択肢はない。