経済三流、政治五流 −昭和は遠くなりにけり−

 政治の劣化が止まらない。毎度お馴染みの国会”森友劇場”で、連日追及にあっている稲田防衛大臣が、「籠池理事長との関係を全面否定して来た」答弁が虚偽であることが明らかになった。これに対して野党は防衛大臣の辞任を求めているが、安倍さんは全面的に彼女を庇いだてする構えのようである。今回の話は難しい話ではない。森友学園と弁護士時代に関わりがあったのであれば、それを事実として認めればいいだけのことであった。それを無用な隠し立てをするから、疑惑が大きく広がってしまう。稲田さんの答弁はちょっと調べれば分かることである。国会の場でこうした明らかな作為の嘘で答弁するのは、はなから国民を馬鹿にしているからだ。安倍さんはその彼女を支持しているわけだ。国民はそのことをもっともっと重視しなければならない。
 80年代に、わが国は諸外国から「経済一流、政治三流」と言われていた。しかし四半世紀に及ぶ経済の低迷、加えて最近では名門東芝の破綻危機。経済は明らかに三流以下に低落した。一方の政治は小泉さん、安倍さんが登場して以来三流どころか、五流と評価されてもおかしくない状況である。安倍さんは答弁に詰まると、よく「情報操作を止めなさい」と仰る。彼は、小泉直流でイメージ=情報操作で勝ち上がって来た人である。だからこそ当たり前の質問も情報操作に映るのではないか。自民党規約の改正により、総裁任期が3期9年まで延長された。安倍さんご本人はこの9年の任期を全うする意向のようであるが、本当にそうなるであろうか。こんな茶番を繰り返し、幼稚なレトリックでの強弁に終始ばかりしていては、野党どころか自民党内部から足元を掬われても何ら不思議ではない。安倍さんのおやりになっていることは、民主主義国家におけるワンマン政治である。独裁国家における金正恩と何ら変わらないばかりではなく、わが国は民主国家であるだけに余計質が悪いとも言えるだろう。
 政治の劣化は国民が悪いの勿論である。だがもっと悪いのはマスコミである。小泉さん、安倍さんのインチキ性を敢えて見抜かず、面白おかしく権力にすり寄ることしかしない。ここには報道の矜持など微塵も感じられない。小池さんの問題も同じである。彼女をジャンヌ・ダルクに見立てて先棒を担ぐばかりで、問題の本質に迫ろうとしないし勉強のあとも見られない。八つ当たり序に言わせてもらうと、政治評論家なる方々の悪行ぶりも目に余る。とくに某通信社解説委員の発言は聞くに堪えない。安倍支持はいいが、支持の理屈が通らない。こうした評論家を使うのもマスコミであるし、彼自身通信社の雇われ人である。こんなことでいいはずはない。細川隆元藤原弘達細川隆一郎三宅久之さんらは鬼籍に入られて久しいが、彼らは思想信条は別にしてご意見番として、時の政府にも堂々と毒づいていた。「昭和は遠くなりにけり」である。