女子フィギュアの励まし

 先月から今月にかけて私的に色々あって、このブログもご無沙汰してしまった。この間私は停滞していたが、世の中は動いている。政治は相変わらず混迷を続けており、政治ネタは書くだにおぞましい。
 そうしたなかで、日曜日(26日)に最終日を迎えた女子フィギュア(全日本選手権)は多くの力と感動を与えてくれた。一日前に終えた男子も素晴らしかったが、女子の試合はまさに圧巻であった。金銀銅を獲得した3選手は全員ほぼノーミスで、それぞれに自らの演技に満足した結果のメダル獲得であった。
 この試合には多くのポイントがあった。第一は、金メダルに輝いた安藤美姫選手。彼女の同選手権奪取は6年ぶりのことであった。第二は、銀メダルの浅田真央選手。彼女はこの試合で見事復活の烽火を上げた。第三は、銅メダルの村上佳菜子。次代のホープである彼女はその台頭を名実ともにアッピールした。
 多くのマスコミは、国民的人気の高い真央ちゃんの復活劇や明日を担うスター佳菜子ちゃんにより注目を促していたが、しかし私自身は美姫ちゃんの活躍にこそ焦点を当てるべきだと考えている。
 真央ちゃんは、今期(2010-11年シーズン)こそ不調であるが、前期(2009-10年シーズン)は世界選手権優勝、全日本選手権4連覇、オリンピック(バンクーバー)2位と華々しい活躍を示した。彼女の不調はこの何ヶ月かのことである。
 それに比べて、美姫ちゃんの方は2003・04年と若くして(16・17歳)全日本選手権で2連覇を遂げたあと、2007年の世界選手権の優勝はあるものの、基本的に長期低迷状態が続いていたといってよい。とりわけ印象深いのは、2006年のトリノ・オリンピックにおける15位という惨敗ぶりである。ジャンプを飛べば転ぶ、飛べば転ぶの連続で、まことに痛ましいかぎりであった。
 今期もグランプリシリーズで北京・モスクワと連勝し、満を持して臨んだグランプリファイナル(北京)ではまさかの5位。そうした流れのなかで、完全状態ではないといいながらも真央ちゃんを押さえて、自力優勝を果たしたわけである。苦節数年に及ぶ彼女の喜びは、演技終了後の過激なガッツポーズによく表れていた。
 彼女はまだ23歳になったばかりである。最後の日本選手権優勝後を低迷期間とすれば、6年間もトンネル状態が続いていたということである。23歳の若いアスリートにとって6年間の苦節はその競技生活のほとんどが闇の中ということであろう。彼女の精神力はどこから培われたものなのであろうか? ともあれ、美姫ちゃんに対しては心の底からおめでとうをいいたい。
 それにつけてもだらしがないのは政治である。民主党政権になっても相変わらず、政策などどこ吹く風。自らの保身第一の政局・政局では倦まれて当然である。清新さを売り物にした民主党の面々であるが、年寄りが多いことは別にしても、清々しさという点において美姫ちゃんには到底適わない。否、年寄りではなくても、同じトヨタ出身の谷亮子議員だって美姫ちゃんの足下にも及ばない。原点を失って漂流する政治は是非美姫ちゃんの奮闘努力を見倣わなければならないであろう。来年こそを期して…。