三宅久之さんに大賛成

 テレビ朝日で毎週月曜日に放送される「TVタックル」で、政治評論家の三宅久之さん(元毎日新聞)が自民党の先生がたを前にして「16日の首班指名選挙では、白紙などというみっともないことは止めて、エールを送る意味でも、“鳩山由紀夫”と書いたらどうか」との発言が、31日、7日と2週連続してあった。
 これに対する先生がたの反応はまさに鳩に豆鉄砲。面白かった。三宅さんのこうした発言に対して、同じく政治評論家の山際澄夫さん(元産経新聞)が真っ向から噛み付き、最後は、だいぶ品のないみっともない様子となってしまった。
 これを見ていて私は「だから自民党は駄目なのだ」と改めて思った。なぜならば、三宅さんの仕掛けを受ける受けないは別にしても一顧だにしなかったことである。大人の対応ではないのである。受け入れがたいのなら、笑い飛ばすぐらいの度量を見せて欲しかった。
 だが考えて見れば、三宅さんの提案は本当に荒唐無稽なのであろうか。16日までに次期自民党総裁が決まらないことははっきりしている。「選挙惨敗の主犯である麻生さんの名前は絶対に書けない。かと言って白紙ではみっともなさすぎる」という、ハムレットの心境?が現在の自民党の皆さんがたということだ。
 しかし「今更みっともない」はない。自民党はもう充分生き恥を晒している。山本一太議員がまたぞろしゃしゃり出て、「責任を負うべき幹部が未だ主導権を発揮するのはおかしい。責任を感じるなら皆さんお辞めになって万事仕切り直しすべきである」との趣旨で発言されていた。とまれ山本さんご自身も分かっておられない。自民党に嫌気が差したのは、貴方の軽薄さもいっとう罪が重い。ようくお考え頂きたい。貴方の顔はテレビ向きではないのだ。それが分からないから、自民党は駄目だと言うのだ。
 三宅さんの話に戻る。首班指名投票で自民党が誰の名前を書いても全て死に票である。だったら民主党に政権を託した国民に敬意を表する意味でも、鳩山さんと書けばよいではないか。「TVタックル」にお出になった先生がたは、書けない理由として「鳩山総理に投票したら、民主党に反対できなくなる」ということをあげておられた。馬鹿も休み休みにして欲しい。あれだけ圧倒的勢いで麻生さんを選んでおきながら、最後の骨を拾わなかったのは貴方がたではなかったのか。だから自民党は駄目なのだ。
 翻って民主党民主党である。同じテレビタックルの中で、山際さんが「民主党の二大政策である子育て手当と高速無料化に国民の反対が多いとして、こうした問題政策は見直すべきだ」と迫ったのに対して、あの長妻昭さんから「マニフェストは国民への約束なので、断固決行しなければならない」との発言があった。
 がっかりである。長妻さんも分かっておられない。先般本欄で、「民主党に投票したからといって、全ての政策に賛成しているわけではない。これから政策を実行するに当たっては個々に再度世論を確認し、充分に国民の本心を確かめたうえで政策を進めて欲しい」と書いた。マニフェストはてんこ盛りのコース料理であり、中に否な料理があってもそれを拒否できないというのが、マニフェスト選挙である。それがお分かりになっておられない長妻さんにも少々幻滅である。大臣におなりになって大丈夫ですか。要は自民も民主もどっちもどっちということだ。私が子どもの頃やせ我慢であったのかもしれないが、大人は大人であった。今国民は一億総子供化している。三宅さんの提言に大人の対応が出来ない政治家など要らないのだ。
 ところで、民主党の新しい先生がたについて個人的に気になるのは、流行のファッションとは言え、IT起業家もどきが増えたことだ。「名は体を表す」というが、逆に、「体は名を表す」こともある。「国民の生活が第一」のスローガンはいい。だがこうした“もどき”先生がたに一抹の不安を覚えるのも事実である。彼らの風体が、市場原理主義を彷彿とさせるからである。それにしても三宅さん、意気軒昂にますます頑張って下さい。