札幌にて−地方経済の疲弊

今日から札幌に来ている。私は北海道出身であるが、今回は久しぶりの北海道である。北海道経済の疲弊はマスコミ等の報道で理解しているつもりだった。しかしこれを目の当たりにすると、また大分感慨が異なる。
何が違うのか? 建物に勢いがないのだ。建物に勢いがないというのは、建物が古い新しいということとは別に、メインテナンスが不十分だということである。その象徴が道庁の庁舎だ。外壁が汚れきっているのに洗浄していないので、侘しい限りなのである。
カネがないから仕様がないということであろうが、道庁は観光名所である。シンボルである。シンボルがこの調子では情けなさすぎる。
北海道拓殖銀行の本店も解体されて跡形なかった。こちらは建て直しが進められているので、完成するとまた趣が変わるのであろう。ただ問題はそれが復興への雄叫びとなるかどうかということだ。
元々北海道は植民地経済の色彩が強く、本州大手資本の進出が目立っていた。しかし近年はそれに一層輪をかけているのである。JR札幌駅周辺には大丸、西武、東急が軒先を並べ、地方色が全く感じられない。東京だってこんなに狭い地域に百貨店が集積することはない。
大手百貨店の進出は局面的には雇用拡大、消費拡大に繋がるかもしれないが、大手の進出は地元の商店を淘汰するのが常である。結局時間を経ると、マイナスが多くなってしまうことはよくある話である。進出が呼び水となって新たな付加価値が創造されるのでなければ、大手進出の意味はない。
北海道に限らないが、域外大手の進出は手っ取り早い経済活性化策として歓迎する向きが多い。だがその本質が植民地経済化であることによく思いを馳せるべきである。域内の所得を奪ってしまうからである。
だけど久しぶりの北海道。意気消沈ばかりしていられない。さてススキノにいざ出陣。友と旧友を暖めることとしよう。