またもや食品偽装

またもや食品偽装である。中国など全く非難出来ない由々しき事態である。この国は本当にどうなってしまうのであろうか?
事件を起こしたのは大阪の米販売会社・三笠フーズ。工業用途として政府から購入した、高濃度農薬残留米とカビ毒発生米を食料用途として、焼酎メーカー、菓子製造業者などに販売したというのだから性質が悪すぎる。
クズ肉を牛肉として販売したミートホープも酷かったが、今回は明らかに毒性の認められる商品を、それも政府から購入して偽装販売していたのである。一連の食品偽装事件中最悪の事件と言ってよい。
今回に限らず、食品偽装事件の報道を見聞きして思うのは、政府、関連業者、マスコミの対応のお粗末さである。
まず政府。今回は特に、食の安全を担うべき政府が詐欺の片棒を担いだのだから何をか言わんである。高濃度農薬残留米やカビ毒発生米を食用とした場合の、具体的な危険性をなぜ速やかに公表しないのであろうか? またこうした米を購入した九州の焼酎メーカーは数社特定されているようであるが、なぜメーカー名を公表しないのであろうか?
ことは人間の健康に影響を与えるかもしれない問題である。それを口にした時の危険性を知りたいと思うのは国民として当然である。同様に購入したメーカーを公表するのは被害を拡大させないための重要な次善の策である。これがされないのは言語同断である。
次に業者。この米を「使用している」業者は即刻名乗り出るべきである。農水省は無用な混乱を避けるために業者名を公表しないと言ったそうである。しかしこれは全く逆である。名乗り出なくてもいずれ名前は出て来るし、それが遅ければ遅いほどその業者は再起不能となってしまう。
一方風評被害を拡大させないためにも「使用してない」業者は自らの製品に関する安全宣言を出すべきである。同業者に配慮するというのは筋が違う。メーカーが一番配慮しなければならないのは消費者である。こんな原初的な理屈を今更言わせないで欲しい。
最後にマスコミ。これまでの報道は政府と業者のメッセンジャーと、相変わらずの勧善懲悪節に終始している。悪者退治は後回しでよい。今国民が知りたいのは、①自分がそうした健康に害を与える食品を口にしたかどうか、②口にしたとすればどのくらい健康に害が及ぶ可能性があるのか、③今後被害を受けないためにはどうすればそれを避けられるかの三点である。
食品偽装がこれだけ連続しているのだから、マスコミ各社は政府や業者の発表を待つばかりでなく、各社独自の識見が示されてもよいはずである。
焼酎党の私にとって見逃すことの出来ない事件だけに、ついつい力が入ったかもしれない。だが政府、業者、マスコミの対応の拙さが正さなければならないことだけは確かである。