民意は「与党大勝」の審判を下したわけではない

 自・公の獲得議席は、小選挙区227(茨城7区から公明推薦で無所属当選した中村喜四郎氏を含む)、比例区87の計314。対する立憲・希望は小選挙区55(民進党系で無所属当選した19を含む)、比例区69の計124。明らかに与党の大勝利である。しかし野党は負けたわけではない。巷間言われているとうり、ここには小選挙区制の不合理性の力学が働いている。毎日新聞の調べでは、野党が共闘すれば84の選挙区で与野党の逆転が生じていたとも言われる。
 そこで未だ不十分なのであるが、私なりの検証を行ってみた。方法は比例区の党派別得票数に無所属分を加えたものをベースとして、単純に小選挙区比例区それぞれの獲得比率に応じてブロック別に議席を算出した結果、自・公の獲得議席総数は201まで落ち込む。一方で、立・希の獲得議席数は192まで激増する。これを議席シェアでみると、自・公は実際値67.5%から計算値43.0%にまで減少し、対する立・希は逆に26.7%から41.3%までアップする。要は民意が下した判断は与野党拮抗ということであり、これに共産、維新の票を加えると、拮抗どころが逆転してしまう。
 これが民意である。決して野党は負けたわけではない。小選挙区制という魑魅魍魎が跋扈する制度に民意の反映が阻まれたということである。しかし選挙前からそんなことは分かり切った話であった。今の選挙制度のなかで野党がばらばらで与党に挑んでも、絶対に勝てない。だから共産党野党共闘の必要性を説き、実際に身を削ってその推進を図って来た。こうした努力に水をぶっかけ崩壊させたのは、偏に小池さんと前原さんである。この二人の罪は如何にも重い。にも拘らず、小池さんは都知事に居座り、前原さんは再選を果たした。御両人には速やかに政界を引退して欲しいと考えるのは、私だけであろうか?