自公大勝の戦犯

 この総選挙の序盤戦の世論調査によると、全てにおいて自公与党の圧倒的優位が伝えられている。このまま行けば、自公だけで憲法改正の発議に必要な2/3をも超えそうな勢いということである。”安倍一強体制”打倒は夢のまた夢ということであろうか。”希望”が絶望に向かうなか、枝野”立民”が希望の党を凌駕するかもしれないとすれば、これこそ民意である。国民は自民”保守”政治に対抗可能な健全な”リベラル”勢力を待望しているということだ。
 前原さんにしても小池さんにしても、自民党との政策的な相違点が明らかに不詳である。安倍憎しだけでは有権者の心を打たないことがはっきりした。こうした思想信条を持つ方たちがなぜ自民党に帰依しないのか不思議でならないというのが、一般的な国民感情であろう。小池さんの専制君主ぶりが鼻についたということはあるにせよ、自民党との明確な政策的対抗軸を打ち出せないことが、希望の党への期待感を急速に萎ませた。国民はそこまで馬鹿ではないということであろう。
 反面、立民・無所属が注目を集め、その関心が広がっているのは、要するに有権者は第二自民的な民主党あるいは民進党にそもそも嫌気が差していたいたということだ。民進党の内部的な不統一感は、”第二自民的”勢力と”リベラル的”勢力の意見の不一致に端を発するとすれば、前原さんならびに多くの民進党員の皆さんは読みを完全に間違えた。民進党への多くの国民の期待はそのリベラル性にあったということだ。立民党で選挙を戦う方々は希望の党から排除された。しかし本当に排除されなければならなかったのは、希望の党に魂を売りその傘下に入った民進党の皆さんたちの方である。
 自民党への対抗軸を国民に示すことが出来ないなかで、内部抗争を繰り返す民主党あるいは民進党が愛想尽かしされても当たり前である。希望の党でもよしとされた皆さんは何とかの股くぐりで、今度は自民党に入れて貰ったらいい。世論調査どおりに自公が大勝するとすれば、その最大の功労者は小池さんと前原さんである。自民党は、ご一統様ともども三顧の礼をもって迎えるはずである。
 翻って、今回のドタバタ劇を演出した小池さん、前原さんあるいは細野さん、若狭さん等がこのままで済んではおかしい。小池さんは因業、前原さんは軽薄、その他細野さん、若狭さんは付和雷同と、すっかり正体を曝してしまったわけだ。もし今回の選挙で審判が下ればその結果を粛々と受け止めて、政界を引退することをお勧めしたい。その方がよほどすっきりする。一方、枝野さんはこうした事情を踏まえて、今回は無理としても次回には是非捲土重来を期すこととして欲しい。